子ども同士の友達トラブルが起きたとき、親としては胸がざわっとします。
それは、わが子が傷ついたときだけではありません。
学校から、
「お子さんの言動で、相手の子が嫌な思いをしたようです」
「仲間外れにされたように感じた子がいました」
と連絡が来たときも、親の心は大きく揺れます。
「うちの子が誰かを傷つけたのだろうか」
「本当に仲間外れにするつもりだったのだろうか」
「相手の子は、どんなふうに受け取ったのだろう」
「先生は、どちらの話をどこまで聞いてくれたのだろう」
そんなふうに、いろいろな思いが一気に出てくることがあります。
子ども同士のトラブルでは、傷ついたと感じた子の気持ちを受け止めることは、とても大切です。そこを軽く扱ってはいけません。
ただ、それだけで終わらせてしまうと、もう一方の子どもが学ぶ機会を失ってしまうこともあります。
傷ついた側にも、傷つけた側にも、それぞれ見ていく課題があります。
そして、親自身も、複雑な気持ちや考え方を整理できるきっかけになります。
この記事では、友達関係のすれ違いを例に、子ども同士のトラブルを「悪者探し」で終わらせず、伝える力・受け取る力・考える力を育てる関わり方について整理していきます。
子ども同士のトラブルは、どちらか一方を悪者にする話ではない
わが子が「傷つけた側」として連絡が来ることもある
子どもの友達トラブルというと、どうしても「傷ついた子をどう守るか」という視点になりやすいです。
もちろん、それは大切な視点です。
でも実際には、親が受ける連絡はそれだけではありません。
わが子が、誰かに嫌な思いをさせたかもしれない。
わが子の言動が、相手の子には仲間外れのように感じられたらしい。
そう伝えられることもあります。
そのとき親は、すぐに冷静ではいられません。
申し訳なさも出る。
でも、わが子にも事情があるはずだと思う。
先生の伝え方に、少し引っかかることもある。
いろいろな感情が出てきます。
だからこそ、まず必要なのは、子どもを責めることでも、相手を責めることでもありません。
何が起きたのか。
それぞれがどう受け取ったのか。
どこにズレがあったのか。
ここを丁寧に整理することです。
傷ついた子の気持ちは大切。でも、それだけでは足りない
相手の子が「嫌だった」「悲しかった」と感じたなら、その気持ちは大切に扱う必要があります。
「そんなつもりじゃなかったんだから、気にしすぎだよ」
「それくらいで傷つくのはおかしいよ」
そうやって受け取り側の気持ちを否定してしまうと、その子は自分の感情を閉じ込めてしまうかもしれません。
一方で、傷ついた側の気持ちだけを守りすぎると、今度は別の課題が出てきます。
伝えた側の子どもが、必要以上に「自分は悪い子なんだ」と受け取ってしまうこと。
受け取った側の子どもが、「自分は被害者で、相手が悪い」という理解だけで止まってしまうこと。
これでは、どちらの子にとっても本当の学びにはなりにくいのです。
子ども同士のトラブルで大切なのは、誰かを悪者にすることではありません。
傷ついた気持ちを大切にしながら、同時に、すれ違いの構造を見ること。
そこに、子どもの対人関係を育てる大切な視点があります。
友達関係の中で育つ、伝える力・受け取る力・考える力
友達関係の中では、楽しいことばかりではありません。
誤解されることもあります。
悪気なく言ったことが、相手には違う形で届くこともある。
逆に、自分が相手の言葉を強く受け取りすぎてしまうこともあります。
でも、こうしたすれ違いの中で、子どもたちは少しずつ学んでいきます。
自分の気持ちを知る力。
相手の反応に気づく力。
自分の意図を言葉にする力。
相手の受け取り方とすり合わせる力。
これらは、ただ「仲良くしなさい」と言うだけでは育ちにくいものです。
トラブルが起きたときに、大人がどのように関わるか。
そこが、子どもの人間関係の土台を育てる大きなポイントになります。
事例:仲間外れ・LINEのすれ違いから見えたこと
※個人が特定されないよう、内容の一部を調整しています。
起きた出来事:人数制限とLINE内の言葉
あるご家庭で、学校から友達関係のすれ違いについて連絡がありました。
友達と遊びに行く場面で、人数制限があり、一部の子が一緒に入れなかったこと。
また、LINEを使っている子同士だけで通じる言葉や話題があり、LINEをしていない子が「自分だけわからない」「はぶかれたように感じた」という出来事がありました。
学校からの連絡は、わが子が相手の子に嫌な思いをさせたかもしれない、という内容でした。
親としては、まず受け止める必要があります。
相手の子が嫌な思いをしたこと。
悲しかったこと。
仲間外れにされたように感じたこと。
そこを否定する必要はありません。
「そんなつもりはなかった」と「嫌だった」は同時に起こる
今回のような場面では、大人から見ると、悪意があったとは限りません。
人数の都合だったのかもしれない。
LINEをしている子同士で、つい内輪の言葉を使ってしまっただけかもしれない。
本人たちに「仲間外れにしよう」という意図はなかった可能性もあります。
でも、受け取った子にとっては、
「嫌だった」
「悲しかった」
「自分だけ外されたように感じた」
という体験になります。
ここに、すれ違いがあります。
伝えた側の「そんなつもりはなかった」と、受け取った側の「嫌だった」は、同時に起こることがあります。
どちらかが嘘というわけではありません。
伝えた側には悪意がなかった。 でも、受け取った側は傷ついた。
この両方を並べて見ていくことが大切です。
伝えた側の意図と、受け取った側の解釈にズレがあった

対人関係のトラブルでは、意図と受け取り方のズレがよく起きます。これはこどもだけではなく、大人も同じ。
受け取った側は、少しのきっかけから、
「嫌われたのかも」
「いじわるされたのかも」
「自分だけ仲間外れにされたのかも」
と、0か100かで受け取ってしまうことがあります。
一方で、伝えた側は、
「そんなつもりはなかった」
「ただその場の流れだった」
「相手がそこまで嫌な思いをしていると気づかなかった」
ということもあります。
だからこそ、どちらか一方を責めるのではなく、両方の視点を整理することが必要です。
受け取った側は、自分が何に傷ついたのかを言葉にする。
伝えた側は、自分の行動が相手にどう届いたのかを知る。
そして、意図と受け取り方にズレがあったなら、もう一度すり合わせる。
この経験が、子どもたちのコミュニケーションの力になっていきます。
学校から連絡が来たとき、親の心も揺れる
申し訳なさ・防衛・先生への不満が出るのは自然
子ども同士のトラブルで学校から連絡が来たとき、親の心も大きく揺れます。
特に、わが子が「相手に嫌な思いをさせた側」として伝えられたとき。
「相手の子に申し訳ない」
「うちの子はそんなつもりじゃなかったはず」
「どうしてうちの子だけが悪いように言われるのだろう」
「先生は、両方の話をちゃんと聞いてくれたのかな」
そんなふうに、いくつもの感情が一気に出てくることがあります。
申し訳なさが強く出る親もいます。 反対に、「うちの子は悪くない」と守る気持ちが強くなる親もいます。 先生の対応に違和感や不満を持つこともあるかもしれません。
どれも、親として自然な反応です。
「うちの子は悪くない」と頑なになる背景
わが子が一方的に悪者にされているように感じると、親は防衛的になります。
「うちの子にも言い分があるはず」 「相手の子の受け取り方もあるのでは」 「先生は傷ついた側だけを守っているのではないか」
そう感じることもあると思います。
これは、親が悪いわけではありません。
わが子を守りたい。 ちゃんと話を聞いてほしい。 一方的に決めつけないでほしい。
その思いがあるからこそ、心が反応します。
ただ、その感情が強くなりすぎると、相手の子が嫌な思いをした事実まで見えにくくなることがあります。
逆に、申し訳なさが強くなりすぎると、わが子の言い分や学びを見落としてしまうこともあります。
だからこそ、親自身の感情と、子どもに必要な関わりを分けて見ることが大切です。
親の感情と、子どもに必要な関わりを分けて見る
親が感じたことも、大切なサインです。
申し訳なさがあるなら、相手の気持ちを大切にしたいという思いがあるのかもしれません。
「うちの子は悪くない」と強く思うなら、わが子が一方的に悪者にされることへの怖さがあるのかもしれません。
先生への不満があるなら、両方の子どもの話を丁寧に見てほしいという願いがあるのかもしれません。
親の感情を否定する必要はありません。
ただ、その感情と、子どもに必要な関わりは少し分けて考える。
ここができると、子どもに対しても、学校に対しても、落ち着いて言葉を選びやすくなります。
先生への違和感を、責める言葉ではなく確認したいことに変える
先生の対応に違和感があったとしても、先生を責めることが目的ではありません。
大切なのは、子どもたちが何を学べるのか。 次に同じような場面があったとき、どう関われるようになるのか。
その視点を、大人同士でも共有していくことです。
たとえば、学校に伝えるときには、こんな言葉に変えることができます。
「相手のお子さんが嫌な思いをされたことは、こちらも大切に受け止めています」
「一方で、本人に悪意があったのか、どのような意図だったのかも確認したいです」
「子ども同士で、意図と受け取り方にどんなズレがあったのか、一緒に整理できたらと思います」
「どちらかを悪者にするのではなく、次にどう関わればよいかを子どもたちが学べる形にしたいです」
責めるのではなく、確認する。 対立するのではなく、整理する。
ここを意識すると、学校とのやりとりも少し変わっていきます。
傷ついた側にも、傷つけた側にも、それぞれの課題がある

受け取った側:0か100かで受け取っていないか
受け取った側には、
「自分は何に傷ついたのかを整理する」
「相手にどう伝えるかを考える」
「すべてを悪意として受け取っていないかを見直す」
という課題があります。
受け取り方に偏りがあると、少しのきっかけが、
「嫌われた」
「いじわるされた」
「私は大切にされていない」
という解釈につながることもあります。
これは、その子が悪いという意味ではありません。
心が不安なときや、過去に似た経験があるときには、誰でもそう受け取りやすくなることがあります。
だからこそ、傷ついた気持ちを否定せず、でも解釈だけで決めつけすぎないように、一緒に整理していくことが必要です。
伝えた側:相手にどう届いたかを知る
一方で、伝えた側には、
「自分の言葉や行動が、相手にはどう届いたのかを知る」
「相手の反応に気づけていたのかを振り返る」
「必要があれば、自分の意図を伝え直す」
という課題があります。
「そんなつもりじゃなかった」だけでは、相手には伝わりません。
でも、だからといって、相手がどう受け止めるかをずっと気にしながら、顔色をうかがって会話しなければならないわけでもありません。
大切なのは、すれ違いが起きたときに、
「私はこう思っていた」
「あなたはそう受け取ったんだね」
「ここにズレがあったんだね」
と確認できることです。
大人の役割:どちらかを悪者にせず、対話の土台を整える
大人の役割は、どちらか一方を悪者にすることではありません。
傷ついた側の気持ちを守る。 同時に、傷つけた側の意図や学びも見る。
この両方が必要です。
「された側」と「した側」 「被害者」と「加害者」
この構図だけで見ると、子どもたちは本来学べるはずのことを学べなくなってしまうことがあります。
大切なのは、誰かを責めることではありません。
何が起きたのか。 どう受け取ったのか。 どこにズレがあったのか。 次にどう関わればいいのか。
そこを一緒に整理することです。
コミュニケーションのゴールを「嫌な思いをさせないこと」にしない

嫌な思いをゼロにすることはできない
子どもたちに育ってほしいコミュニケーションの力は、
「相手が嫌な思いをしないようにすること」
だけではありません。
もちろん、相手を傷つけないように考えることは大切です。
でも、人によって、何を嫌だと感じるかは違います。
同じ言葉でも、気にならない子もいれば、深く傷つく子もいます。
その日の気分や体調。 これまでの経験。 相手との関係性。 場の空気やタイミング。
そうしたものによっても、受け取り方は変わります。
だから、誰にも嫌な思いをさせないように、完璧に振る舞うことはできません。
顔色をうかがう関係は、子どもの心を苦しくする
「相手が嫌な思いをしないようにしなければならない」こんな風に大人は指導をしがちです。
ですが、この意識が強くなりすぎると、子どもはどう振る舞えばいいかわからなくなってしまいます。
「何を言っても、誰かを傷つけるかもしれない」
「相手が嫌な思いをしないように、ずっと気をつけなきゃいけない」
「自分の気持ちは言わないほうがいいのかもしれない」
そんなふうに、人の目を気にしすぎる方向に進むことがあります。
これは子どもだけの話ではありません。
大人でも、相手がどう受け取るかを気にしすぎると、言いたいことが言えなくなります。
常に顔色をうかがいながら生活するようになると、心が疲れてしまうこともあります。
本当に育てたいのは「気づく・伝える・すり合わせる力」
本当に育てたいのは、相手の顔色をうかがう力ではありません。
嫌な思いをしたときに、自分の気持ちに気づけること。
嫌な思いをさせてしまったときに、相手の受け取り方に気づけること。
自分の意図と相手の受け取り方にズレがあったとき、もう一度すり合わせられること。
ここが、子どもたちに育ってほしいコミュニケーションの力です。
「誰にも嫌な思いをさせない子」ではなく、 「嫌な思いをしたときに、気づいて、言葉にして、関係を整え直せる子」。
コミュニケーションのゴールは、そこに置きたいのです。
「嫌だったね」で終わらせないことが大切
気持ちを受け止めることは、最初の土台
子どもが嫌な思いをしたとき、まずはその気持ちを受け止めることが必要です。
「それは嫌だったね」
「悲しかったんだね」
「仲間外れにされたように感じたんだね」
ここを飛ばしてしまうと、子どもは「わかってもらえなかった」と感じます。
嫌な気持ちは、悪いものではありません。
悲しい。 腹が立つ。 さみしい。 自分だけ外されたように感じる。
そう感じること自体を否定しなくていいのです。
その後に「何が嫌だったのか」を一緒に整理する
ただ、気持ちを受け止めるだけで終わってしまうと、次の力が育ちにくくなることがあります。
大切なのは、その後です。
「何が嫌だったのか」
「どの言葉に傷ついたのか」
「相手はどういうつもりだったのか」
「自分は本当はどうしてほしかったのか」
「次に同じことがあったら、どう伝えられるのか」
ここまで整理していくことで、子どもは少しずつ、自分の気持ちを言葉にする力を身につけていきます。
感情・出来事・解釈を分けると、次の行動が見えやすくなる
友達とのトラブルでは、出来事と感情と解釈が一緒になりやすいです。
たとえば、
「一緒に入れなかった」
これは出来事です。
「悲しかった」「さみしかった」
これは感情です。
「仲間外れにされた」「嫌われたのかもしれない」
これは解釈です。
この3つを分けてみると、少し落ち着いて考えやすくなります。
そして、次にできることも見えやすくなります。
子どもに必要なのは、責める力ではなく「すり合わせる力」
わが子が傷ついた側だった場合の声かけ
わが子が傷ついた側だった場合は、こんなふうに聞くことができます。
「何が一番嫌だった?」
「そのとき、どんな気持ちになった?」
「相手はどういうつもりだったと思う?」
「もし伝えるなら、どんな言葉なら言えそう?」
ここで大事なのは、子どもの感じ方を否定しないことです。
「そんなことで傷つかないの」 「気にしすぎだよ」
そう言ってしまうと、子どもは自分の感情を閉じ込めます。
一方で、
「それは相手が悪いね」 「ひどい子だね」
と決めつけすぎると、子どもは相手を責める方向に進みやすくなります。
どちらでもなく、
「そう感じたんだね。じゃあ、何が起きていたのか一緒に見てみよう」
という関わり方が大切です。
わが子が傷つけた側と言われた場合の声かけ
一方で、わが子が傷つけた側として連絡が来た場合は、こんなふうに整理していきます。
「あなたは、どんなつもりでそうしたの?」
「相手の子は、どう感じたみたいだった?」
「相手がそう受け取った理由は、どこにありそう?」
「もし誤解があったなら、どう伝え直せるかな?」
「次に同じような場面があったら、どう関われそう?」
ここでも、大切なのは責めることではありません。
「なんでそんなことしたの」 「謝りなさい」
だけで終わらせてしまうと、子どもは自分の行動を深く振り返る前に、防衛に入ってしまうこともあります。
子どもの気持ち。 子どもの意図。 相手の受け取り方。 次の行動。
ここを一緒に整理することが大切です。
「私はこう感じた」と伝える練習
子ども同士のすれ違いでは、アイメッセージが役立つことがあります。
「あなたが悪い」ではなく、
「私はこう感じた」 「私はこう思った」 「私はこうしてほしかった」
と伝える方法です。
たとえば、
「LINEの話がわからなくて、私は少しさみしかった」 「一緒に入れなかったとき、仲間外れみたいに感じた」 「次は、どうしたら一緒に遊べるか相談したい」
このように、自分の気持ちを主語にすると、相手を責めすぎずに伝えやすくなります。
「そんなつもりじゃなかった」を、伝え直す力に変える
傷つけた側の子どもにとっても、伝え直す力は大切です。
「そんなつもりじゃなかった」
という言葉だけでは、相手には届きにくいことがあります。
そこに、もう少し言葉を足す練習が必要です。
「仲間外れにするつもりはなかったよ」 「人数の都合でそうなったけど、嫌な思いをさせたならごめんね」 「LINEの話でわからない気持ちにさせたのは気づいていなかった」 「次は、わかるように話すね」
このように、自分の意図と、相手の受け取り方の両方を言葉にしていく。
それが、すり合わせる力につながります。
親が自分の気持ちを整理するときの5つの視点

1. 起きたこと:学校から何を伝えられたのか
まずは、学校からどのような内容の連絡があったのかを整理します。
誰が、どの場面で、どんな言動をしたと伝えられたのか。
ここでは、感情や解釈を一度横に置いて、事実として聞いた内容を確認します。
2. 子どもの課題:わが子には何を学ぶ必要があるのか
次に、わが子にはどんな行動や伝え方の課題がありそうかを見ていきます。
相手の反応に気づけていたのか。 自分の意図を言葉にできていたのか。 相手がわからない話題で盛り上がっていることに気づけたのか。
責めるためではなく、次にどう関わるかを考えるために整理します。
3. 相手の子の課題:どんな受け取り方があったのか
相手の子が何を嫌だと感じたのか。 どんな解釈をしたのか。
0か100かで「嫌われた」「仲間外れにされた」と受け取っている可能性はないか。
ここも見ていく必要があります。
ただし、これは相手の子を責めるためではありません。
お互いの認識にどんなズレがあったのかを理解するためです。
4. 親自身の感情:申し訳なさ・怒り・不安を分けて見る
親自身が今、何を感じているのかも整理します。
申し訳なさを感じているのか。 わが子を守りたい気持ちが強くなっているのか。 先生の対応に不満を感じているのか。 親として責められたように感じているのか。
自分の感情を分けて見るだけでも、少し落ち着きやすくなります。
5. 大人としてできること:悪者探しではなく、整理と対話を支える
最後に、大人として何ができるかを考えます。
誰かを悪者にする前に、子ども同士の意図と受け取り方のズレを整理する。
必要があれば学校と共有し、子どもたちが対話できる土台をつくる。
親がすぐに正解を出す必要はありません。
ただ、子どもたちが考えられるように、土台を整えることはできます。
大人がやりがちな「課題泥棒」
子どもの課題まで親が背負いすぎない
子どものトラブルを見ていると、大人はつい先回りしたくなります。
傷つかないように。 失敗しないように。 相手に嫌われないように。 問題が大きくならないように。
もちろん、その気持ちは自然なものです。
でも、先回りしすぎると、子どもが自分で考える機会を奪ってしまうことがあります。
相手がどう受け取るかは、相手の領域
相手がどう受け取るか。 相手がどう感じるか。 相手がどう行動するか。
これは、本来は相手の領域です。
こちらができるのは、
自分の言葉を選ぶこと。 自分の気持ちを伝えること。 必要なときに謝ること。 次にどうするか考えること。
そこまでです。
先回りしすぎると、子どもが考える機会を失うこともある
相手が絶対に傷つかないようにする。 相手が絶対に怒らないようにする。 相手が絶対に誤解しないようにする。
ここまで背負おうとすると、子どもも大人も苦しくなります。
優しさのつもりが、相手の課題まで背負ってしまう。 守っているつもりが、子どもが考える機会を奪ってしまう。
こうした状態を、とことこRoomでは「課題泥棒」として整理することがあります。
だからこそ、大人自身がまず、
「これは誰の課題なのか」 「私は今、何をコントロールしようとしているのか」
を見ていくことが必要です。
親にできる小さな関わり方

まず聞く:否定せず、さえぎらずに受け止める
子どもが友達関係でトラブルになったとき、親がまずできることは、解決策を急いで出すことではありません。
まずは、子どもの話を聞くことです。
「何があったの?」 「その時、どんな気持ちになった?」 「どんなつもりでそうしたの?」
否定せず、さえぎらずに聞くことで、子どもは少しずつ自分の中を整理しやすくなります。
一緒に整理する:いつ・どこで・誰と・何があったのか
次に、出来事を一緒に整理します。
いつ。 どこで。 誰と。 何があったのか。
ここを確認していくと、感情と出来事を分けやすくなります。
言葉にする:子どもが伝えられる形を一緒に考える
子どもが自分の気持ちや考えを言葉にできるように、一緒に考えます。
「相手はどう受け取ったと思う?」 「次に同じことがあったら、どうできそう?」 「もし伝えるなら、どんな言い方なら言えそう?」
言葉にすることで、子どもは次の一歩を見つけやすくなります。
必要なときは学校や大人につなぐ
本人同士だけで整理するのが難しい場合は、大人が間に入ることも必要です。
学校の先生に相談する。 必要があれば、第三者に入ってもらう。 家庭だけで抱えない。
一人で解決しようとしなくて大丈夫です。
安全確保が必要なケースは、家庭だけで抱えない
ただし、継続的ないじめ、暴力、脅し、明らかな排除、子どもが学校に行けないほど苦しんでいる場合は、子どもの力を育てる前に安全確保が必要です。
その場合は、家庭だけで抱えず、学校や専門機関と連携してください。
「子どもに考えさせること」と「大人が守ること」は、どちらか一方ではありません。
状況に応じて、分けて考えることが大切です。
子どものトラブルは、対人関係を学ぶチャンスでもある
すれ違いを通して、考える力が育つ
今回のような友達関係のすれ違いは、できれば起きてほしくないものです。
でも、まったく傷つかず、まったくぶつからずに、人との関わり方を学ぶことは難しいとも思います。
大切なのは、トラブルをなくすことだけではありません。
トラブルが起きたときに、
自分の気持ちに気づけること。 相手の立場も想像できること。 必要なときに大人へ相談できること。 自分の言葉で伝える練習ができること。 お互いの受け取り方の違いをすり合わせられること。
この経験の積み重ねが、子どもの人間関係の土台になっていきます。
親にとっても、自分の反応を見直す機会になる
子どものトラブルは、親にとっても揺れる出来事です。
学校から連絡が来たとき、親も揺れる。 わが子を守りたくなる。 相手に申し訳なくなる。 先生の対応に不満を持つこともある。
その感情を否定しなくていいのです。
ただ、親自身の感情と、子どもに必要な関わりを分けて見ていく。
そこができると、子ども同士のトラブルは、ただの嫌な出来事では終わりません。
嫌な出来事を、関係を整え直す経験に変える
「嫌だった」 そこで止まらずに。
「何が嫌だったんだろう」 「どう伝えたらよかったんだろう」 「相手はどう思っていたんだろう」 「次はどうしてみようか」
そうやって、一つずつ整理していく。
この過程そのものが、子どもの心を育てます。
そして、すれ違ったあとに整え直す経験は、これからの人間関係の力にもなっていきます。
まとめ:子どもを守ることと、子どもの力を奪わないこと
コミュニケーションのゴールは、嫌な思いをゼロにすることではない
子どもが傷ついたとき、大人は守りたくなります。
それは、とても自然なことです。
そして、わが子が誰かを傷つけたかもしれないと言われたときも、親の心は大きく揺れます。
申し訳なくなることもある。 わが子を守りたくなることもある。 先生の対応に違和感を持つこともあります。
どの感情も、なかったことにしなくていいのです。
ただ、守ることと、子どもの課題をすべて代わりに背負うことは違います。
大切なのは、気づいて、伝えて、すり合わせること
相手を責めるだけでは、対人関係の力は育ちにくい。 自分を責めるだけでも、心は苦しくなります。
大切なのは、
「何が起きたのか」 「自分はどう感じたのか」 「相手はどう受け取ったのか」 「次にどう関わるのか」
を一緒に整理していくこと。
コミュニケーションのゴールは、誰にも嫌な思いをさせないことではありません。
嫌な思いをしたときに気づくこと。 嫌な思いをさせてしまったときに受け止めること。 そして、もう一度言葉にして、関係を整え直せること。
子どもたちには、その力を少しずつ育てていってほしいと思います。
親も子どもも、責めるためではなく整えるために向き合う
子ども同士のトラブルは、親にとっても不安な出来事です。
でも、大人が落ち着いて関わることができれば、その経験はただの嫌な記憶では終わりません。
自分の気持ちを大切にしながら、相手とも関わっていく力。 傷ついたときに、自分を守りながら伝える力。 すれ違ったときに、もう一度つながり直す力。
そうした力を育てるきっかけにもなります。
とことこRoomでできること
学校からの連絡に動揺しているとき
とことこRoomでは、不登校、親子関係、友達関係、夫婦関係など、家庭の中だけでは整理しきれない悩みを一緒に見つめています。
学校から連絡が来て、どう受け止めたらいいかわからない。 わが子が傷つけた側と言われて、親として動揺している。
そんなとき、一人で整理しようとすると、どちらかに偏ってしまうことがあります。
わが子の言い分と相手の気持ち、両方を整理したいとき
相手の子の気持ちも大切にしたい。 でも、わが子の言い分も見てあげたい。
この両方を持つことは、矛盾ではありません。
大切なのは、どちらかを悪者にすることではなく、何が起きていたのかを一緒に整理することです。
親としてどこまで関わればいいか迷ったとき
先生の対応に違和感があるけれど、どう伝えたらいいかわからない。 子ども同士のトラブルに、どこまで親が入ればいいのかわからない。
そんな時は、一人で抱え込まなくて大丈夫です。
子どもの問題に見えて、実は大人側の関わり方や、家庭全体の安心感が関係していることもあります。
責めるためではなく、整えるために。
親子の今を、少しずつ一緒に見ていきましょう。

